免停物語

国試が終わった春休み、発表まで1日も休みなく体力の限り遊んだ春休みですが、とあるところに車で行くことにしました。もうお金がどこにもありませんでした。電車(新幹線)と高速と比べたらガソリンを含めても数百円だけ高速が安かったので車にしたのです。
すると今も忘れない降りるインターの直前、頭上でピカッと何かが光った気がしました。最先端だったから何かわからないくらい淡い光だったのですね。まぁその後も散々遊んで、やっと発表の前日になって久しぶりに帰ってきたわけですが、1枚はがきがピランと私を待っていました。出頭命令通知です。決められた期日までに警察に来なさいということです。
ちなみにオービスがあったのはA県。大学があるのはB県。就職はC県。通知はA県からですが、A県まで行くことはできないので出頭先を変更する手続きが必要です。翌日の国試合格発表によってB県に変更するか、C県に変更するか、これは大きな大きな違いです。発表の前日に届くとは何と不吉な通知でしょうか。
果たして無事合格し、変更先はC県となりました。
実は出頭しても処分を受けるまでは運転できるんですよね。だいぶタイムラグがあるのです。その間に引っ越しもでき、免許証の住所変更もできちゃいました。
それでも就職先の先輩からは「免停のPaparazziさんでしょ」と不名誉な代名詞を付けられました。まぁ早く覚えていただけてよかったですが。
ただでさえ少ない初任給は罰金等で消えました。それでも容赦なく免停はやってきます。車社会でなれてしまった私には大変辛い期間でしたが、同時にいくつかのいいこともありました。出歩いて遊ばなくなったり、計画的に買い物をするようになったり(残念ながら現在は残っていませんが)。中でも一番良かったのは、自転車で通えることだけを条件に探した美容院でいい美容師さんに出会えたことです。彼女がお店を変わるたびについて行っていまだに彼女に切ってもらいます。免停だったからこその出会いですね。
ところで、私はオービスが光ったため、1枚のハガキで自分の「速度超過」を知りました。負け惜しみではなくこちらの方がいいです。覆面につかまったこともありますが、警察車両がスーッと前に来て止まりなさいを提示する、あの落とされるような絶望感は何とも言えません。郵便ポストにさりげなく1枚届けば、少なくともあの威圧を感じることはなく心の準備もできます。
今日も高速で覆面を見かけました。みなさま、安全運転で。